ラフマニノフの24曲の前奏曲の中で、このOp.32 No.12は最も人気の高い曲といわれています。
全体的に冷気と哀愁を感じさせる独特の雰囲気があり、聞いているうちに異世界に誘い込まれるような気がしてきます。
ラフマニノフ自身もこの曲が大変お気に入りだったようで、彼自身の演奏会のアンコールで頻繁に演奏されました。
彼自身、この曲を自分の芸術性が表現された大切な作品だと思っていたようです。
このことはラフマニノフにとっては非常に珍しいことでした。
というのも、ラフマニノフが当時ピアニストや作曲家として受けていた高い評価とは裏腹に、自分自身に対する評価は驚くほど低く、自分の作品に対しても非常に批判的だったからです。
一度完成させた作品でも、後から「長すぎる」「構成が悪い」と批判し、何度も短くカットしました。
傑作と言われる下記の作品
ピアノ協奏曲第3番(ホロヴィッツ)
ピアノソナタ2番(ユジャワン)
なども後になって「冗長すぎる」といってカットしてしまったほどです。
友人でもあった名ピアニスト・ホロヴィッツが「元のほうがすばらしい」と言っているにも関わらず、カットしてしまうのです。
ラフマニノフの完璧主義は良い作品も生み出すが、悩みの種でもあり、もろ刃の剣だったようですね。
話が出たのでついでに言っておくと、
ラフマニノフとホロヴィッツは30年ほど年齢が離れていましたが、ホロヴィッツがラフマニノフの大ファンで、ラフマニノフの目の前でピアノ協奏曲第3番を演奏したのがきっかけで知合いました。
ニューヨークにあるスタンウェイ&サンズのリハーサル室でホロヴィッツがピアノパートを、ラフマニノフ自身がオーケストラパートを弾く「初対面」かつ「初共演」の状況でした。
この時ラフマニノフはホロヴィッツの演奏を絶賛、「彼は私の協奏曲を丸呑みにしてしまった」という言葉を残しました。
ホロヴィッツ自身も後に、この時のことを回想して「極度の緊張で死ぬかと思った」と語っています。
以降、ラフマニノフとホロヴィッツ交友関係は続きました。
ビバリーヒルズでご近所さんだったこともあり、互いに行き来していたそうです。
そして、そのホロヴィッツもこの前奏曲 Op.32 No.12が大好きで演奏会でよく弾き、この曲の普及に大変貢献しました。
その時の録音があるので、ラフマニノフ本人の録音と併せて掲載しておきますね。
そして、比較になりませんが私の演奏も掲載しておきます。(笑)


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