ショパンに関するクイズです。
ショパンが自分で作曲した曲であるにも関わらず、出版をしないように遺言していた曲は?
わからなかった方はこちらの記事をどうぞ。
今日は、ショパンが弟子に演奏することを禁じていた曲についての記事となります。
その曲とは・・・ベートーヴェン作曲 ピアノソナタ「熱情」です。(なんで?)
今回はランランで行ってみましょう。
なぜショパンは「熱情」を禁じたのか?
それはショパンのピアノの指導方針が大きく関わっています。
ショパンのピアノ指導の核心は、「美しい音色」と「均整の取れたレガート(音を滑らかにつなぐ奏法)」でした。
彼は、鍵盤を上から叩きつけるような打鍵を心から嫌い、「音を丁寧に繋ぎなさい」「叩いてはならない」と繰り返し指導していました。
このことは、彼の多くの弟子たちが証言しています。
ショパンの弟子として5年間指導を受けたジョルジュ・マティアス(Georges Mathias, 1826-1910)は「鍵盤を打つのではなく、ビロードの手で鍵盤を型取るように」「鍵盤を撫でるように、決して乱暴に叩いてはならない」と繰り返し指導を受けたと言っています。
ショパンのお気に入りの弟子の一人であり、彼の死に立ち会ったマルセリーナ・チャルトリスカ公爵夫人(Princess Marcelina Czartoryska, 1817-1894)はショパンの次の言葉を残しています。
「指はピアノの深みに沈み込むように、ピアニッシモでもフォルテでも、指が離れたがらないような、あの持続的で憂いを帯びた音を引き出すべきである。」
ショパンの未完のピアノ教本『メトード』にも下記の記述があります。
「目標は、すべての音を均一の音で弾けるようになることではなく、美しい音質を制御し、変化させることができる、よく形作られたテクニックである」
「熱情」の特徴として、特に終楽章は、速い連打や力強いフォルテ(sf)、そして劇的な感情の爆発が求められます。
特に第3楽章の最後の部分(ランランの演奏の7:00~)、激しい連打で爆発的な感情を表現しています。
(ここはレガート無理でしょ)
これらの要素は、生徒が意識的に力を入れすぎたり、指や腕を乱暴に使ったりする「力任せな演奏」になりやすい危険性を持っていました。
ショパンは、ベートーヴェンの「熱情」を弾くことで、生徒たちが築き上げてきた繊細で洗練された基礎的なタッチが崩れることを何よりも恐れたのです。
ただし、ショパンはベートーヴェンを「偉大な巨人」「宇宙的な力を持つ」と表現し非常に尊敬していましたし、「熱情」の演奏を禁じていたのはあくまでもピアノの指導方針からでした。
ベートーヴェンの他のピアノソナタは弟子たちの指導に使っていましたし、当時、ベートーヴェンの「熱情」は、ピアニストにとって必須のレパートリーとして定着していました。
なので、弟子たちがプロになった後も生涯にわたって演奏を禁じることなど、ショパンであってもできる訳がありません。
公式の記録は残っていないのですが、ショパン自身も、その弟子たちも「熱情」を弾く機会は十分にあったでしょう。


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