皆さんの中はヨハン・セバスティアン・バッハが「音楽の父」と呼ばれているのを知っている人もいるかもしれません。
なぜ「音楽の父」と呼ばれるか、その理由は過去の記事「純正律と平均律」のところでも話題にしましたが、バッハ以後の音楽の世界に多大な影響を与えたからです。
例えばこんな感じです。
(1)調性(長調・短調)を確立した
・現代音楽の「コード進行」の基礎を生み出しました
(2)平均律の可能性を実証した
・1つの鍵盤楽器で24の長調と短調を使って美しく演奏できることを証明しました
・曲の途中で転調することができるようになったのはバッハのお陰です
(3)対位法の完成
・複雑なメロディを複雑に絡み合わせる対位法の技法を極限まで高め、完成させました
・現代の音楽においても対位法は当たり前に使われている技法です
バッハがいなかったら、現代音楽を語ることはできない、と言っても過言ではないのです。
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・純正律と平均律
・バッハの「平均律クラヴィーア曲集」は、「平均律」ではなかった
バッハは、彼の死後しばらく忘れ去られた時期もありましたが、19世紀に入るとその真価が再評価され、多くの後世の音楽家たちに「音楽の父」として深く尊敬され、その作品が研究されました。
彼らは、バッハの音楽に普遍的な真理や完璧な構造を見出し、自らの創作活動の源泉としたのです。
具体的な音楽家とその賛辞、影響をいくつかご紹介しましょう。
1.フレデリック・ショパン
ショパンは、バッハを非常に深く尊敬し、その作品を自身の作曲や演奏の基盤としました。
・バッハは日課
・ショパンは毎日必ず、バッハの平均律クラヴィーア曲集を弾くことからピアノの練習を始めていました
・マヨルカ島への唯一の楽譜
・前奏曲「雨だれ」を作曲したマヨルカ島へ恋人ジョルジュサンドと赴いた際、持参した唯一の楽譜がバッハの平均律クラヴィーア曲集でした
・弟子への指導
・自身の弟子たちにも、バッハの平均律を徹底的に学ばせることを強く推奨していました
2.フランツ・リスト
リストもまた、バッハに深い敬意を抱いていました。
・バッハ作品の編曲
・リストは、バッハのオルガン曲「前奏曲とフーガ イ短調 BWV 543」や「幻想曲とフーガ ト短調 BWV 542」などをピアノ独奏用に編曲しました
これにより、当時の忘れられかけていたバッハの作品を、コンサートピアニストとして広く聴衆に紹介し、バッハ再評価の流れに貢献しました
彼の編曲は、オルガンの壮大な響きをピアノで再現しようとする意図が見られます
・「バッハ」を主題とした作品
・「バッハの名による幻想曲とフーガ (Fantasia and Fugue on the Theme B-A-C-H)」を作曲しています
これは、バッハの名前の綴りを音名に置き換えた音型(B♭-A-C-B#)を主題とした作品で、バッハへの深いオマージュを示しています
3.ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
ベートーヴェンもバッハの音楽を熱心に研究しました。
・「小川(Bach)ではなく大海」
・ベートーヴェンは、「バッハは小川(Bach、ドイツ語で小川の意)ではなく大海(Meer)である。一切がそこへ流れ込み、一切がそこから流れ出る」という有名な言葉を残しています
これは、バッハの音楽がすべての源流であり、その広大さ、深遠さを讃えたものです
・対位法の研究
・ベートーヴェンは、ピアノ・ソナタや弦楽四重奏曲に見られる深遠な対位法的な書法やフーガを多用しました
このことは、バッハの影響を強く受けていると言えます。


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